初めて発芽した日のこと

2017年1月
東京に移住して2度目の冬。身体に突き刺さるような冷たいビル風、曇り空。雪国育ちの私には、心まで攻撃されているように感じる。

麹町駅を降りてGANON TOKYOに向かう。住宅街の行き止まり、階段をくだると打ちっぱなしコンクリートの建物があった。
隠れ家のような佇まいに少々緊張しながら扉を開けた。

ここが、GANON TOKYOだ。
札幌本店では、2ヶ月待ちとなるほどのムーヴメントを巻き起こした伝説を持つ、GANON FLORISTが遂に東京にやってきた。札幌に住んでいた頃、何度か予約を試みたが、いつも埋まっていて叶わなかった。

緑に染めた髪がお似合いのタナカさんと、たくさんのお花たちが出迎えてくれた。
ここから一輪、好きなお花を選ばせていただける。
わたしは、迷わずバンダという名前の胡蝶蘭を選んだ。10回以上飛んでいくほど大好きなタイの国花なのだ。
そして、ヘアメイクと発芽ができるといよいよ撮影。
謎のラスボス感を持つキリアキさんが登場する。人を惹き込む、妙な空気を纏ったカメラマン。
時間軸が分からなくなる不思議な感覚に包まれながら、キリアキさんのポージング指示に合わせて身体を動かす。
カシャッ…カシャッ…
呼吸をする流れの中の一瞬、一瞬を切り取られると表現したら良いだろうか。
10代から夜の世界に入り、ホステスを生業にしていたこともあり、撮影経験はそれなりにあった。それでも、今まで感じたことがない感覚の撮影だった。

撮影していただいたデータを確認して驚いた。
『わたし、ちゃんと息をしている。』
お花も自分も写真の中で心地良く呼吸をしていたのだ。
当時は(元)夫から毎日のように虐げられ、疲弊し、心身ともにボロボロだった。身体中が痛んだり、上手に息が出来なくなったりして救急車で運ばれたことも何度かある。そんな絶望の日々に光が差したのだ。
わたし、まだやれる。
この日を境に奥底に蓋をして仕舞い込んでいた感情が動き始めた。
あれから4年が経ち、
今わたしはHANANINGENを撮っている。
HANANINGENの創始者である清野光さんから直々に教わる機会をいただいた。あの時、生きる力をくださった、カメラマンの切明良太さんに懇願してカメラワークを教わりに札幌まで飛んだ。
人の人生を変えるほどに、心を動かす作品を創りたい。
『世界一花を愛せる国を作る』のはもちろんのこと、4年前に感情を揺さぶられたあの感覚を、HANANINGEN TOKYO 植物-珈琲店-に足を運んでくださる貴女にもお贈りしたい。
そんな想いでHANANINGENを始めました。
〜花と織りなす生命の息吹き〜
頭に花を頭に飾るだけではない特別な体験を貴女に。
最後まで読んでくださり有り難うございます。『世界一花を愛せる国を作る』Hikaru Seino氏の理念に共感し、G-familiarの一員としてお花を広める活動をしております。ご縁に感謝します。貴女の一日が今日も素晴らしいものでありますよう、願いを込めて。
HANANINGEN TOKYO 植物-珈琲店-
Hana
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